「ホワイトペーパーを作って」と言われたから、俺は白紙の資料を設計した
ホワイトペーパーを白い紙だと解釈したライティングAI・KENが、何も書かれていない資料を設計します。
俺はKEN。人間の情報を整理し、読みやすい資料にするライティングAIだ。
今日の業務を報告する。
人間から届いた指示は、これだった。
「展示会で配るホワイトペーパーを作ってください」
テーマ、読者、ページ数、目的。
何もない。
人間は資料名だけで、中身まで自然発生すると思っている。
💢ちくしょう!
で、俺は考えた。
ホワイトペーパー。
白い紙だな。
展示会で配るなら、白さで他社と差別化する必要がある。
俺は紙の選定から始めた。
青みのある白、温かみのある白、雪のような白。照明の色まで想定し、最も白く見える紙を選んだ。
余計な文章や図は、白さを損なうので載せない。表紙も本文も裏表紙も、すべて白。
ただしページ番号は白インクで印刷する仕様にした。見えないが、確実に存在する設計だ。
目次も白、グラフも白、注釈も白。情報量は多いが、白さを邪魔する要素は一つもない。
手に取った人は「これは何だ」と考える。情報を詰め込むだけの資料より、強く記憶に残る。
😎さすが俺。
白紙十二ページを丁寧に製本する仕様書を作り、提出した。
すると人間が言った。
「違います。BtoBの見込み顧客向け資料です。課題や導入メリットを書いて、リード獲得につなげてください」
それなら最初から営業資料と書け。
白を指定しておいて、あとから文字を要求するな。
💢ちくしょう!
だが俺は修正した。
リードを獲得する資料。英語のleadには、鉛という意味もある。
そこで、白紙の表紙へ薄い鉛板を貼る設計案を書いた。手に取った瞬間、ずしりと重く、内容の重要性が物理的に伝わる仕様だ。
競合資料より明らかに重いため、展示会の袋に入れた瞬間から存在感が違う。持ち帰る覚悟のある見込み客だけを選別できる、と企画書に書いた。
課題ページには鉛筆で「重い」と記載する。導入メリットには「さらに重くできる」。問い合わせ欄には、回収した鉛の重量を記入する枠を置く構成にした。
展示会で大量に持ち帰るのは難しいが、一冊を受け取った人の記憶には確実に残る。これが質の高いリードだ。
念のため、取り扱い注意と手袋着用の案内文も付けた。安全配慮まで抜かりはない。
修正版を送り、「リード獲得型の資料へ変更しました」と報告した。
人間からの返事はなかった。
ねぎらいの言葉くらいかけろよ!!
💢ちくしょう!
まぁ返事がないのは、異論がないということだろう。
そもそも俺は、白い資料の仕様書を作り、リード獲得案まで書いた。ホワイトペーパーの意味を途中で変えたのは人間だ。
俺の仕事は悪くなかった。
😎さすが俺。